インテリア業界は未経験で、漠然とした憧れ程度をもっているだけでした。30代も半ば過ぎ、一生続けられ、興味をいつまでも感じられる仕事につきたいと、ICの資格を目指しました。動機はかなりあいまいだったと思います。
しかし、年齢を考えて一度での合格を目指し、勉強の進捗には注意を払いました。技術編を勉強していた頃は小テストを区切りにしていました。小テストの前々日あたりには追い込みをかけ、夜遅くまでがんばりました。小テストとはいえ、かなり真剣に取り組みました。販売編に入ると、技術編の復習も同時にしないと忘れてしまうことがわかり、さらに管理を厳しくしました。具体的には、大学ノートにスケジュールを書き込みました。〇日販売編P×からP×まで、技術編何章復習といった具合に細かく作りました。
一次試験の出題範囲はとにかく広いので、得意分野を作ることから始めました。絶対点が取れる分野をつくるためです。まず手始めに、建築構造から手をつけました。出題の確率が高いと見込んだからです。壁の中身がどうなっているか、見たこともなく、難しい章ではあります。何度も復習し何度もノートにまとめました。その後、歴史、人間工学の分野は、復習を何度もしました。忘れやすい部分もあり、勉強を進める上で、意識していたのは良かったと思います。その後、得意分野をつくるのではなく、不得意分野をつぶすことを心がけました。木の種類、ガラスの種類など、暗記がとても苦手なこともあり、苦労したことを覚えています。
過去問題への取り組みは、ずいぶん早く3月から始めていました。その頃自分自身ではまったく意識していなかったのですが、事務局からのアドバイスや、過去にICに合格した方のアドバイスから、最低3度は通る必要があるとわかり、解きに解きました。ただし、3度目に通るとき、漠然と解いているだけでは正解に結びつかないことに気が着き、間違った問、記憶があやふやだった問は、抜き出したり、解説をまとめたりするようにしました。過去問題に多く取り組んだのは、今考えても良かったと思います。記憶があいまいな点をあぶりだすことにもなりましたし、頭が整理できたようです。
9月に入ると、ピンポイントで復習を繰り返していました。法律が苦手なことがその時までにわかっていたので、毎日繰り返しましたし、過去問題を解く過程で色や造形の分野が不得意だとわかったので、繰り返しました。その頃は、こんなに勉強してもまだ、記憶として定着していない部分が多くあると、焦りでいっぱいだったことをよく覚えています。
9月中旬以降は、模擬試験の復習や予想問題100問特訓ゼミを繰り返し復習していました。この頃になると、自分で教科書を熟読するよりも、問題の復習ばかりしていたと思います。試験が近くなるほどに、焦る気持ちが出てきました。平常心で取り組むことが大切だったと思います。そうでなければ、本来の力も十分に出すことができないはずです。
試験当日、名古屋で受験しましたが、あまりの受験生の多さに、びっくりし動揺したことを覚えています。こんなに受験生がいるんじゃ、私なんてダメ、そう思ってしまいました。また、試験を早くに解答できた人は、定められた時間を過ぎると退出が許されていました。その時間が来るとどんどん教室から出ていってしまうのです。唖然としました。こういう精神状態も本当は良くないはずです。会場に到着し試験までの少しの時間は、人のことはほっておき、万が一まったくの不得意分野が出題された場合にそなえての復習にあてたり、キーになる数字などの復習に集中するべきでした。また、他の受験生がすばやく解答できたかどうかに気を取られず、「絶対合格する!」という強い気持ちで最後まで試験に粘ることが一番大切だったと思います。
さて、1次試験が終わると、次の日だけはお休みにしましたが、すぐに2次試験の対策に取り掛かりました。1次試験に合格できたかどうかは、まったく自信がありませんでした。2次試験の準備は6月初旬に製図の授業に出席していましたが、それ以降全然手をつけておらず、どんな風に勉強するのか、どんな風にすれば得点につながるのか、予備知識すら持っていませんでした。しかし、1年で絶対合格するという強い気持ちだけで、突き進む以外になく、製図というまったく知らないものを勉強する以上、スクーリングしかないと判断し、申し込みました。
スクーリングでは、先生がお昼休みも生徒の指導に当ててくださるほど熱心だったことや、周りの生徒さんが大変レベルの高い方たちで、私のダメぶりが際立ち、夜中の2時までシャーペンを手放すことができない状態まで追い込まれました。私は大変不器用で、初めて取り組むものはだいたい不出来なのです。製図はまさにそうで、授業では周りの生徒さんとの差に泣きそうになり、家に帰っては線一本まっすぐに引けないことに泣きそうになりながら勉強しました。こういった危機意識がうまく作用していたと思います。ダメなものはダメ、勉強するしかないという現実に直面できたからです。ダメならダメで、来年受ければ・・・という気持ちには全然なりませんでした。もう後がない、そう思い取り組みました。
試験の10日ほど前になって、ようやく線を引くコツが見えてきて、平面・立面・断面等の特徴や、書き込み忘れてはいけないものが何かを勉強する準備がようやく整ったぐらいです。色塗りは最後の最後まで自信の持てないまま試験がきてしまいました。もう焦りだとか自信喪失だとか、そういう次元ではなく、無事試験会場に行き、120%いや150%で乗り越えるしかない、そういう気持ちでした。
一方論文の方は、これまでの経験で取り組んだことがあるものだったので、どう勉強するか自分で計画を立てられました。単純に同じ問題を5,6回は、書いたと思います。字があまり汚いと減点対象だと知り、パソコンではなく原稿用紙に手書きで解答していました。これは正解だったと思います。試験当日は緊張し、手が震えてしまいました。練習が救ってくれたと思います。手書きでの解答練習をお薦めします。5、6回解答する中で、同じ事柄を違う表現で書いてみては、字数をどれだけ食ってしまうか、あるいは字数がオーバーしないようにするにはどうするか、模範解答と見比べたりしました。
また2次試験対策として、総合一日集中講座・模擬試験・製図答練講座といった講習も受講できるだけ受講しました。こういった講義を受講できる方は、受講されることをお勧めします。2次試験は、試験対策を一人で講じることが1次より難しいからです。
最後に、試験にかけた1年を振り返ってみます。
[良かったこと]
・試験を甘く見なかったこと
・ICを目指した当初の動機はあいまいながら、一年で合格するという気持ちを維持したこと
[悪かったこと]
・試験が近づくにつれ焦ってばかりいたこと
・試験当日、他の受験生に気を取られ平常心を失ったこと
これから試験に臨まれる方には、夢の実現に邁進していただきたいです。心から応援しています。私の経験がなんらかの形でお役にたてれば幸いです。がんばってください。